酒類販売業者の移転手続きは?

自分で始めたお酒販売のお店が軌道に乗ってきたし、法人にしようかとも考えてるけど、手狭になってきたから少し広い場所に引っ越しも考えてるんだよね。こないだ聞いた法人成りの場合だと同じ場所での営業じゃないとダメだったからどうしようかと悩み中なの。もし、酒類販売業者がお店を移転したらどういう手続きをしたらいいのかな?
どちらに当てはまるのか?
酒類販売業者が、酒類販売場の場所を変える場合には大きく分けると以下の2つのパターンがあります。
- 今ある酒類販売場の場所から別の場所にある建物に移転する場合
- 今ある酒類販売場を取り壊して新しい建物を同じ場所に建てる場合
- 今ある販売場の同じ建物内で売り場の広さを変えたり場所を変える場合

簡単に分けるとこの2つのパターンで「酒類販売場移転許可申請書」で申請するか、「異動申告書」で申告するかが変わってくるニャ。
1の場合、販売場の地番が変わる場合には酒類販売場移転許可申請書で申請することになるニャ。この申請の場合は移転の2か月前には申請して許可をもらわないといけないから手続きとかは大変だニャ。
2の場合、古い建物から新しい建物へ建て替えるけど、地番が変わらないなら異動申告書での申告で済むニャ。異動申告書での申告なら1の場合よりも少し手続きが楽だニャ。3も2と同じで同じ建物内で場所が変わるだけだから地番は変わらないってことで、異動申告書での申告で済むニャ。

もともとある販売場の場所から違う地番に移転する場合には「酒類販売場移転許可申請書」になるんだね。建て替えて同じ場所でまた酒類販売をする場合では地番が変わらなければ「異動申告書」ね。なんかややこしいから間違えやすそうだね!同じ建物内か違う建物かでも地番が同じか変わるかによって手続きが全然違うんだね。
【注意点】
- 古い販売場を建て替えて同じ場所(地番)に新しい販売場を建てて酒類販売をする予定でも、別の場所(地番)にある建物などを仮店舗として営業するような場合には移転許可申請が必要になるので注意が必要です。その場合は「古い販売場から仮店舗への移転許可申請」と「仮店舗から新しい販売場への移転許可申請」と2回の申請が必要になります。
- 古い販売場を建て替えている間、同じ敷地内に仮店舗を建ててそこで建て替えの間酒類販売をする場合、仮店舗が古い販売場と同じ地番にある場合には異動申告書で申告できます。新しい店舗が完成して仮店舗から新しい販売場に異動する場合にも再度異動申告書を提出します。
- 古い販売場を建て替えて同じ場所(地番)に新しい販売場を建てて酒類販売をする予定で、建て替えの間に仮店舗も持たない場合には、「酒類販売業休止申告書」を提出します。新しい販売場が完成した後、開始申告書・異動申告書を提出します。酒類販売業休止についてはこちらのページで詳しく説明しています。
酒類販売場移転許可申請書とは
- 酒類販売業免許(酒類等の製造免許)で販売や製造をしている酒類販売業者(製造者)が免許交付時の建物から別の建物に販売場や製造場を移転する場合に必要な申請です
- 管轄税務署に酒類販売場または酒類等の製造場の移転を行う前に申請します
- 申請の期限は移転の2か月前までです
酒類販売場移転許可申請書
必要な申請書と申請書次葉
| 書類名・様式など | 記載例・注意点など |
| 酒類販売場移転許可申請書 様式:CC1-5126 | ![]() 【注意点】 ・販売場の所在地や名称について、地番欄には不動産登記法による土地の登記事項証明書の地番、住居表示欄には住居表示による所在地、名称欄には「本社」、「〇〇酒店」「〇〇支店」などを記入します ・業態区分は次のように記入します ①一般酒販店(酒屋、酒類専門店など) ②コンビニエンスストア ③スーパーマーケット ④百貨店 ⑤1~4以外の量販店(ディスカウントストアなど) ⑥業務用卸主体店・ホームセンター・ドラッグストア ⑦その他1~6に該当しない業態は具体的に記入します ※ピザ宅配店・弁当店など ・所在地や名称の漢字のふりがなの記入をしてあるか ・酒類販売管理者の選任予定欄には申請する販売場の酒類販売管理者として選任している人か選任予定の人の氏名や役職などを記入します ・移転年月日に事業計画にもとづいた移転の予定年月日が記入してあるか |
| 販売業免許申請書次葉1 (販売場の敷地の状況) 様式:CC1-5104-1(1) | ![]() 【注意点】 ・申請する販売場の位置が建物の全体図にわかりやすくかかれているか |
| 販売業免許申請書次葉2 (建物等の配置図) 様式:CC1-5104-1(2) | ![]() 【注意点】 ・申請する販売場と一緒に使用できる倉庫などがわかりやすくかかれているか ・酒類の陳列場所における表示はわかりやすく示されているか |
| 販売業免許申請書次葉3 (事業の概要) 様式:CC1-5104-1(3) | ![]() 【注意点】 ・店舗などの広さや什器備品などについての記入がもれなくされているか |
※販売業免許申請書次葉1から3はこの様式を使用しなくても同等のものを添付することもできます
添付書類
| 書類名など | 記載例・注意点など |
| 契約書等の写し | ・土地や建物、設備などが賃貸借の場合には賃貸借契約書などの写し ・建物が未建築の場合には請負契約書などの写し ・その他土地や建物、設備などが自己所有ではない場合は、使用できることが認められる書類 |
| 土地・建物の登記事項証明書 ※販売場の店舗などの新築や改築をするための一時的な移転の場合は省略できます | ・全部事項証明書を添付します ・申請する販売場の建物が複数の土地の上にある場合はすべての地番にかかる土地の登記事項証明書が必要です |
| 免許申請書チェック表 様式:CC1-5104-2(7) | ![]() 【注意点】 ・作成した添付書類について確認事項と添付を確認して確認欄に〇をつけます ・省略した書類・提出しなくてもいい書類については斜線をひきます |
| その他税務署長が必要と認めた書類 | 上記記載の申請書、次葉1~3、添付書類以外にも審査の中で別途提出が必要になる場合があります |
申請期限
移転する2か月前までに
手数料
無料
申請書提出先
販売場または製造場の所在地を所轄する税務署
※税務署の管轄が変わる場所への移転の場合、申請書の左上欄の税務署長に新しい所在地の管轄税務署長と記入して、移転前の所在地の管轄税務署長に提出します
【注意点】移転の2か月前までに申請する必要があるので、申請時にはそろわない書類については理由書などで申請時に提出できない理由と、用意できたら提出する旨を記入して申請書と一緒に提出します。

「酒類販売場移転許可申請書」の場合は2か月前までに申請しないといけないのね。

そうだニャ。これは事前に申請して、移転先が酒類販売場として許可できる場所かどうかを税務署が確認しないといけないんだニャ。許可される前に移転して移転先で営業しちゃうと、無免許での販売になってしまうから要注意だニャ。
同じ建物内などでの酒類販売場の移転には
販売場が同じ建物内での他の階への移動など、同じ建物内での移動の場合には「異動申告書」を提出します。この異動申告書は酒類販売場移転許可申請書と違い、事前に提出して許可を受ける必要はありません。
- 百貨店などの店舗内やプラットホームや駅の構内での販売場の位置が変わるなど、同じ建物の中での販売場の移転があった場合
※異動申告書での申告手続きは、同じ建物内での販売場の移動以外にも、酒類等製造者、酒類販売業者(代理・媒介)住所、氏名または名称などの変更があった場合に必要になる申告手続きです
百貨店等の同じ建物内などで販売場を異動した場合
必要書類と添付書類
| 異動申告書 様式:CC1-5612 | ![]() 【注意点】 ・概要欄の異動年月日には下記の異動内容に応じて異動の生じた年月日を記入します 異動内容と記載する異動年月日 ●住所または所在地が変更になった場合 個人の場合・・・住民票記載の異動年月日 法人の場合・・・法人登記事項証明書記載の登記年月日 ●法人の名称を変更・法人の組織変更・法人の役員が変わった場合 ・・・法人登記事項証明書記載の登記年月日 ・本店または住所地を所轄する税務署管内における販売場の有無に〇をします |
| 異動後の販売場の図面 | 異動後の販売場の位置がよくわかるもの |
| 異動後の新しい販売場の場所の賃貸借契約書の写し | 百貨店などの店舗内の一部を貸借している・駅構内の一部を貸借しているなどの場合 |
※他にも申告内容によっては必要になる書類がある場合があります。
提出期限
名称などに異動が生じたときにただちに申告します
異動申告書の手数料
無料
異動申告書の提出先
酒類販売場・酒類製造場(酒母・もろみ)の所在地を管轄する税務署







